コンデンサは車載用バッテリーの代わりとなるか
バッテリーの大容量化は電気自動車の航続距離の向上やハイブリッド車の低燃費性をより高めるとして鋭意研究・開発が進められています。
しかしながら、バッテリーは車載機器ですから、その大容量化と小型化・軽量化を両立させなければなりませんが、それは大変に困難です。なぜなら、バッテリーを大容量化しようとするにはセル(バッテリーの最小単位で、家庭用充電池のようなもの)の数を増加させなければなりませんが、このセル数の増加と小型化が非常に難しいからです。
そこで、バッテリーの代わりにコンデンサ(蓄電器)を用いることが考えられています。コンデンサは、2枚の金属極板を誘電体ではさんだだけの極めて単純な構造ですから、小型化・軽量化が比較的容易に行えます。
しかも、コンデンサの容量は金属極板の面積と誘電体の誘電率に比例しますが、極板間の距離に逆比例します。つまり、より薄くすることによってより大容量化が可能になりますので、原理的に車載機器に大変向いている素子と言えます。
課題としては、バッテリーよりも自然放電しやすい欠点をどのように解決するかです。しかし、自動車のブレーキ時に発生する回生電力を吸収して、再起動時にその電力を用いることなどは現在でも可能です。自然放電の問題は、放電しにくい誘電体の開発や、充放電回路にスイッチング素子を用いて抑制することなどが考えられます。